JBCF 宇都宮ロードレースは6.7kmのコースを11周の73.7kmで行われました。
photo by Kanako Takizawa
1周のコース上にはっきり上り坂と呼べる所は2箇所あります。
僕はJBCFのロードレースを先月行われた群馬で久しぶりに走りました。群馬でJBCFのレースでは距離が長い時、厳しいと思えるコースは逃げ切りが多いのではないかと感じました。今回の宇都宮ロードレースは1周が短い距離の中で上り坂が2つ、後は少しの起伏があります。これを常に速いペースで上るとなると厳しいコースとなります。なので今回も群馬の距離が長い時と同じように、力で決まった逃げがそのまま逃げ切りとなることが濃厚なのではないかと感じていました。JBCFのレースではメイン集団にいても、逃げをチームでまとまって追うということが中々起きづらいということもあります。
僕達、愛三工業レーシングチームとしても後手を踏まないように前の集団に人数をなるべく多く乗せていこうという作戦でした。
スタートする前からスタート地点に自転車を置いて場所取りをする選手が多く、いかにこのレースのスタートが大事かを表していました。ちなみにUCIのレースでは自分の自転車をスタート地点に置いてどこかに行くということを見たことがありません。
ニュートラルと呼ばれる正式スタートの前に全員で走る時も、全員が前に前にという気持ちが強すぎて今回に至っては落車も起きていました。
正式スタートが切られると案の定、超高速ぺースでした。全員が全開で前に前に行くのでペースは落ちません。アタックに常に乗っていくのはキツいですが、かといって後ろにいてしまっては勝ち逃げに乗れないので自分自身、常に前に前にいかなければいけません。
photo by Kanako Takizawa
僕としてはチームにスプリンターが多いこともあってどうしても上りのアタックは自分が反応することが多く、脚を削られていきます。これに関しては僕が最後の集団スプリントをどうしてもできないように、脚質というものがあるので仕方ありません。
僕自身は後乗りではなく先乗りで逃げができそうな時にはほぼほぼ常に逃げに乗っていました。
6周目で僕含む9人抜け出し、7周目で後ろから6名が追い付き15名の勝ち逃げができました。
ここに愛三工業レーシングチームからは大前選手と僕が入りました。
photo by Kanako Takizawa
僕が考えるにはこの時点で調子が悪くなかったので、大前選手に助けてもらって自分で勝ちを狙いたいという気持ちでした。大前選手もスプリンターという脚質ながら、前半から前々で展開していて調子が良さそうだと感じました。
ただ僕の脚はこの後すぐの7周目の裏の上りで前との差を詰めるときに結構苦しくなってしまい、これはまずいと思ってしまいました。前半から常に逃げに乗っていたので、力を使いすぎてしまっていたのです。トマ選手が8周目の上りでアタックした時は、このレースの中で脚が1番売り切れていて全く反応できませんでした。本当に一瞬を逃しただけで一気に3人は見えなくなってしまいました。ここでアタックできた3人に結果、完全に負けました。
photo by Kanako Takizawa
そして大前選手も反応できずに愛三工業レーシングチームとしては後手を踏む展開になってしまいました。
この時大前選手が前を引きますか?と聞いてくれたのですが、僕の脚が売り切れていたので、少し回復させてほしいという気持ちを込めてまだ良いと言ってしまいました。この状態で引いてもらって攻撃をしても他チームにやられてしまうと思ったからです。
photo by Kanako Takizawa
しかしそこから言葉を交わさずしばらく走ると大前選手が前を引き始めてくれました。これは僕が期待に応えないといけないと、僕も先程から回復させた脚で前に追い付きたいと思いました。このままだと優勝できる可能性はかなり低いですが、このままでは良くても4位になってしまいます。チームとして4位を狙ってる訳ではなく、優勝できるシチュエーションには持っていきたいという気持ちは一緒でした。前を引いてもらって上りに入ったところで下から全開で駆け上がり、差を詰めていくしかないと思いました。大前選手に前を引いてもらってゴールラインを通過したあとの上りで僕が先頭に出て、作戦通り下からハイペースで上ります。
ただやはり脚に元気がなく思ったように速く走れません。
大前選手も先頭を引ききってくれたので疲労してしまって、その坂で遅れてしまいました。すると坂の頂上で監督から大前選手も大事にしていこうと言われました。監督は前の選手達と自分達の集団を見て勢いが違ったのを見ていたのでしょう。僕は坂の下からアタックしていきましたが、坂を越えて下りから平坦で大前選手を待つことにしました。
僕たちのチームが牽引を止めるとやはり後続のスピードは落ちて、各選手が単体でアタックするような動きになっていきました。
もう逃げをキャッチすることは不可能です。
ここからはいかに脚を休めて4位をとれるか、2人共上位に入れるかを考えました。
photo by Kanako Takizawa
悔しながらこの決断をするしかありませんでした。
レースの進行上終盤、脚を貯められた選手に僕は最後スプリントで勝てず6位という結果になりました。脚を貯められてなくてもその選手に勝てたかは分かりません。ただ先頭集団の3人と同じチームの選手は僕らの集団では仕事をしなくて良くなります。これも自分達が後手を踏まなければ良かったことなので、自分達のせいです。このような所があってロードレースはチーム戦と呼ばれていて、これがまた見ていて面白い所だと思います。
僕が弱かったことで、今回のレースで良い結果をチームに届けることができませんでした。
トマ選手がアタックした時、大前選手が捨て身になって働こうと最初にしてくれた時に脚がなかったことがかなり悔やまれます。
ただずっと落ち込んではいられず、今回感じたことを次に生かさなければいけません。
こんな状況でもレースはまだ開催してくれるみたいなので、そこに向けてチーム一丸となって勝利を狙うのみです。
これは僕の目線のレポートで、僕のチームメート大前選手も詳細なレポートを挙げていますので、時間がある方は是非覗いてみてください。
繰り返されるインターバル、激しすぎた宇都宮ロードレース/大前翔 officialsite