プロサイクリスト 伊藤雅和

シエルブルー鹿屋所属 選手兼監督 伊藤雅和のブログ ロードバイクに役立つ情報を発信していきます

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パワーはあればあるほど良いという話

投稿日:2022年3月2日 更新日:

パワーは大事か、パワーメーターはいらないという話がたまに出てくることがあります。

そのような話が出た時は自分は理論の余地もなく大事、必要と答えます。

自分はもっと若いうちからパワーメーターを使って管理された練習を行いたかったです。そこがキャリアの中で1番後悔していることかもしれません。

 

ワールドツアー所属の選手達

もともとワールドツアーの選手はフィジカル的に化け物並の選手ばかりです。

自分がヨーロッパで走っている時にワールドツアーチームに実力で所属している選手達は全員化け物だと思いました。敵うわけがないと。

とにかく身体がデカい。プロチームの選手達とワールドツアーの選手達は体つきが違います。

そのなかでもグランツールやクラシックなどで活躍している選手たちは化け物の中の化け物です。自分が全開走行している時にまだ息も上がってないです。

最近ではトレーニングが必ず数値化されますのでそもそもフィジカルが弱い選手は生き残れない世界になっています。昔だったらレースがうまいから下のクラスのレースで優勝してワールドツアーに入れたというパターンもあったかもしれませんが現在それはほぼ不可能です。

現在のトップカテゴリーのレースでサプライズがほぼほぼ起きないのもパワーが関係していると思われます。1回限り勝つ選手は少なく、1回勝てばその後も活躍する選手がほとんどです。練習からしっかりとコーチに管理されておりコンディションが整わない場合は少ないです。

ワールドツアーのトッププロは勿論、どの選手もパワーを元にトレーニングは全て計算されて行われピーキングをしている時代。パワーメーターを使用していない選手はもうなかなかいないと思いますが、使用しないと走れない時代になっています。

 

パワーの差

自分は絶対的にパワーが不足しています。自分よりパワーを出せる選手は日本にも沢山いると思います。少ないパワーの割には自転車を進ませることは比較的得意です(愛三の選手とかはよく分かっていると思う)けど、上のクラスのレースになるとそんなものじゃ通用するわけありません。そもそも絶対的なパワーがあればまだヨーロッパで走れていたはずです。TTや長いクライムともなるとその差は愕然とする程の差があります。

イタリアにいる時はFTPの乳酸テストがチームの中で低かったです。FTPは低いけど3年目には合宿で頂上ゴールのレース走とかになると自分よりFTPが高い選手より速く、チームのトップクライマー達と同じ集団でゴールとかはできていました。ただそれはあくまで自分がいたのはプロチームの中であってワールドツアーチームともなるとパワーが出なければごまかしが効かないわけです。

イタリアのチームが解散になり、来年からフランスのチームにNIPPOがなるとチームから聞かされて、現在いるメンバーから中根だけしか連れていけないと聞かされた時も結構諦めがつきました。もちろん残りたかったなという気持ちもありましたし、その年の仕事は日本人メンバーの中ではトップクラスにしていた自負はありましたから悔しい気持ちもありました。

ただ自分にはヨーロッパで戦う為の絶対的なパワーが足りないということからは逃げられなかったです。

客観的にみてパワーが足りないと理解していなければ諦めがつかなかったかもしれません。

レースの走り方は大事だけど上のレベルになればアシストをするにもパワーは必要になってくるわけでパワーは二の次と唱えている人は今の時代に合っていない指導者なのではないかと自分は思います。

 

他競技はどうか(サッカー)

自分が好きなスポーツのサッカー。

サッカーも自転車と同じように昔から比べるとかなり戦術的になってきていてデータ解析やトレーニングの化学が進化していています。

かなり細かいデータを取っているようです。今回改めて調べて驚きました。

例えば試合中のスプリントや走行距離、プレーゾーンなどは一般的に知られているデータの項目かもしれませんが、試合中に選手がパスを受けた時に、そのパスはどれくらいの高さだったのか、どちらの足でそのパスを受けたのかなどかなり細かいデータが取られているようでした。パスを受ける方の足によって選択肢が広がったり、限られる場合があるからだと思います。

データ解析の会社があったり、チームでデータを取ったり、選手の評価もデータに基づいて行っているチームもあるようですし、データに基づいてスカウトを行ったり、データに基づいて作戦を立てたり、データに基づいて選手の能力が数値化されています。

昔はそれほどデータで管理されていなく作戦も監督が決めるということが多かったようですが、現在は監督とデータを読み解くコーチとの間でデータに基づいた作戦と、人選がされていくようです。

ここまで書いていて何が言いたいかといいますと、トップレベルの監督とコーチ、データが揃ったチームではよりアスリート能力が求められ、フィジカルはかなり大事な要素となるわけです。

全て選手が判断しなくてよくなった時代どこで差をつけるかはフィジカル(コンタクト、スピードなど)や判断のスピードが大事になってきているように自分は思います。

選手に全て選択肢と自由を与える監督より選択肢と決まりを多く作っている中で、それを選手に選択させられる監督が優秀というわけです。

今は余程のテクニックがない限りはサッカーでもフィジカルということが重要視されているように思えます。

閃き、テクニックのアタッカーよりスピード(判断スピードも含む)やフィジカルのあるアタッカーが重宝されるようにそもそもサッカー全体のスピードがあがっているなかでスピードに難がある選手、スピードより閃きといういわゆる過去にファンタジスタと呼ばれた選手達は現代では活躍の場が戦術的に限られてきてしまうみたいです。

 

ロードレースのパワー

サッカーの話はここまでにしておいてロードレースの世界でも同じようなことが起きています。レースがうまいだけでは戦える場所が限られてきているということです。どのパワーの領域が強いだとか弱いだとか、自分みたいにそもそもパワーが低いだとかを隠せる時代ではなくなってきているということです。


photo Kanako Takizawa

トレーニングやレースを常にパワーという数値で見れることによって、「今日は調子が悪かったから遅れた」ということはなかなか通用しない時代になってきています(風邪などの体調不良、ステージレース中は除く)

もちろん練習で出せていた数値をレースになって全く出せなかったという場合は調子が悪かったと言えるかもしれません。

その場合ではなく遅れた場合、レース後に「調子が悪かったから今日は遅れてしまった」と監督に言える時代ではないということです。

そもそもパワーが出ていない選手が万が一にでもそのようなことを言った場合は、調子が悪かったのではなく弱かったんでしょとチームから白い目をされることは間違いなしです。

 

まとめ

ここまでつらつらと文章を書いてきましたが、自分の考えではパワーは絶対的に必要です。

パワーを出せたうえで改善できることは沢山あります。

トレーニングは専門のコーチを雇ってみてもらったり、ポジションをフィッターに詰めてもらったりです。

日本人が世界で活躍するにも難しいことはいりません。絶対的なパワーがあることが大前提です(正確にはパワーウエイトレシオ)

新城さんや英登も素晴らしいパワーを持っています。

今から世界を目指す選手は絶対的にパワーを鍛えること。これが絶対に大事です。

その上で困った時には助けてくれる人は少なからず日本にいると思っています。

最近自分のチーム(愛三工業レーシングチーム、シエルブルー鹿屋)の若い選手を見て、学生の選手もオンラインレッスンで見ていてこれから本当に頑張ってほしいなと思い、今回のようなブログを書きました。

パワーは大事です。

 

 

 

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