プロサイクリスト 伊藤雅和

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アシスト選手 ヴィスマとUAE

投稿日:2024年7月13日 更新日:

今日は今回のツール・ド・フランスの主役と言ってもいいBIG4。

その選手達のアシストの話です。

これこの前の解説の時に話そうと思って準備してたんですよね。ただ展開が凄すぎて話せなかったので文にしました。

完全に伊藤の考えです。そういう見方もあるんだなーくらいで読んでもらえればと思います。

今日はヴィスマとUAEと2大ビッグチームの話をします。

まずエースは誰しもが知ってる世界一の選手2人。

ヴィスマはヨナス・ヴィンゲゴー。

UAEはタデイ・ポガチャル。

現在誰に聞いてもこの2人が世界一の選手でしょう。

今回はこの2人ではなくこの2人を支えるアシストについての書いていきます。

 

結論

まず結論からいうとヴィスマの方が良いメンバーだと思います。

今回のツール。

UAEの方がアシストメンバーは目立っています。なぜなら山岳で引っ張ると目立つからです。

 

ただレースをずっと見てるとUAEのメンバーよりヴィスマのメンバーの方が全員がヴィンゲゴーの為に働いています。

そしてできる限りのヴィンゲゴーに対してストレスがかからないように走っています。正直見ていて完璧だと思いますし素晴らしすぎると思います。

まずはアシストのタイプを分けて考えてみましょう。

 

アシストタイプ

タイプは総合、ワンデーレース(丘)、平坦(ベルギレース)、TTに伊藤が勝手に分けたいと思います。
それぞれ
エース◎
総合は○
ワンデーレース(丘)は△
平坦(ベルギーレース)は☆
TTは✕
にします。

ヴィスマ・リースアバイク

No 名前
1  ヨナス・ヴィンゲゴー ◎
2 ティシュ・ベノート  △、☆
3  マッテオ・ヨルゲンソン ○、☆
4  ウィルコ・ケルデルマン  ○、✕
5  クリストフ・ラポルト △、☆
6  バルト・レメン ○
7  ヤン・トラトニク △、✕、☆
8  ワウト・ファンアールト △、✕、☆

UAEチームエミレーツ

11 タデイ・ポガチャル  ◎
12 ジョアン・アルメイダ ○
13 フアン・アユソ ○
14 ニルス・ポリッツ △、✕、☆
15 パヴェル・シヴァコフ ○
16 マルク・ソレル ○
17 ティム・ウェレンス ○、△、✕、☆
18 アダム・イェーツ  ○

 

まず伊藤の考えを言います。

ヴィスマのメンバーは色々とできます。○△✕☆マークも多いです。

ヴィンゲゴーとポガチャルが同じ実力だとします。そうすると2人は強すぎるんです。

強すぎるのでヴィスマの人選の方が良いんです。

UAEのメンバーは確かに強いです。山岳で引っ張れます。

だけどポガチャルが余裕な分、ヴィンゲゴーも余裕なんです。

 

ということはいくらUAEのメンバーが引っ張ってもヴィンゲゴーが千切れなければ意味がありません。結局ポガチャルが踏んだ時にヴィンゲゴーとポガチャルの一騎討ちになります。

つまり一騎討ちの状況をつくる為に引いているような感じになっちゃうんです。

 

仕事すること

総合で強い選手というのは普段守られることが多い選手です。

チームの為に働くことに慣れていないんですよね。

UAEは他チームであればグランツールで総合を狙える選手達が多いです。○を見てもらえれば分かると思います。

一方ヴィスマの選手達は総合を狙える選手は少ないです。

レース中の動きを見ていてほしいんですけどヴィスマは基本的に全員がヴィンゲゴーの為だけに働きます。スプリントステージの時はワウトとラポルトだけ別の動きをすることがあります。

 

ただそれ以外は本当にずっとヴィンゲゴーの為に働いています。

この前解説の時も話したんですけど基本的に道の1番端で先頭に立って走っています。

そしてほとんどメンバー全員がいます。

ヴィンゲゴーはそのメンバーの前から3番目にいることが多いです。

相当守られていますし、守るメンバーもめちゃくちゃ強い。本当に強い。

山岳で支えられるメンバーはヨルゲンソン、あとはケルデルマンの2人になりますがここは直前にコロナにかかったセップクスがいなくなってしまったので仕方ないです。

先ほども書いたようにヴィンゲゴー、もしくはポガチャルが踏み始めたら結局2人になるか、レムコ、ログリッチの4人になるわけでアシストはそれぞれいない状況になっちゃうんですよね。

つまりそこにいたるまでどれだけストレスが本人にかからないか。

上りで人数が絞られたときには落車のリスクに対してのストレス、位置取りのストレスなどはありません。あとは勝負することを考えるだけです。

一方UAEはレースを見てもらえれば分かりますが基本的にポガチャルを守っているのはポリッツとウェレンスの2人です。ソレルも近くにいることはありますね。

ただヴィスマと比べると守られている感覚は少ないと思います。

アシストとして機能するのは基本的に山岳の時。これ以外は位置取りを前で頑張ることも少ないです。

もし、ポリッツかウェレンスがリタイアするようなことになれば一気にストレスは増えると思います。

 

昨日のように横風が吹いたとき、この前の第9ステージのダートの時。ポガチャルよりヴィンゲコーの方が守られています。

 

攻めるより守る

チームで攻めるというよりエースを守るという意味でヴィスマのメンバーはめちゃくちゃ強いんです。

ほとんどのメンバーが春先のベルギークラシックも走っているメンバーですし。位置取りも苦にしていないメンバーばかりです。

春先のベルギークラシックを走っているか走っていないかは実はこのグランツールでエースを守るという役割の選手にとって大事だと思っています。

ヴィスマは☆のついている選手が5人。UAEは2人。

守られてる、守れるメンバーが倍以上多いんですよね。

こういう小さな積み重ねが最後に結果として現れていくと思いますので今日、明日の山岳ステージを見ていて実力が拮抗しているならば、最終週でそれぞれにかかっているここまでのストレスは確実に出てくると思います。

開幕前に伊藤が思っていたのは、アダムイェーツかアルメイダをヴィンゲゴーがいけないときに行かせてチームとしてポガチャル以外の選択肢を持たせたいのかなと思っていたんですよ。

そうすればヴィスマにとってかなりストレスですから。

ただ蓋を空けてみれば王道の山岳牽引でしたね。これはこれで見ているこちらとしては絶対にポガチャルがアタックをしてくれるので楽しいですけど。

まずは今日、明日の山岳ステージを楽しみましょう!そこで更に今後が見えてきそうです。

まだまだツール・ド・フランス楽しんでいきたいと思います!

 

 

 

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