プロサイクリスト 伊藤雅和

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怪我をしていなかったら

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自転車ロードレースをしていたら切っても切れない落車問題。

落車はしないのが1番ですが、したくなくてもしてしまう時はしてしまいます。

レースで前の人が転んでそこに突っ込んで転んだ、雨の日に滑って転んだなどありますね。

僕も全く自慢ではないのですが数々の落車をしてきています。

そして2回の大腿骨骨折をしています。

左脚の大腿骨転子部骨折、右脚の大腿骨転子部骨折です。

最近練習していて怪我をしていなかったらどうだっただろうと考えることがあったので書いていきたいと思います。

というのも最初に折った左脚が今でも上手に使えないからです。

今日は最後にお知らせもあります。

 

左大腿骨転子部骨折の手術

1度目の大腿骨骨折はマレーシアで行われた2014ツールド・ランカウイでした。

ちなみに僕は大腿骨を2度折っていますが全く同じ折れ方をしています。

この一度目の落車は手術するまでかなり大変な経験だったのでそこのエピソードはまた今度書いていきたいと思います。

色々あってマレーシアで手術することになりました。筋肉を切りすぎると復帰が大変と聞いたのでドクターに筋肉をなるべく切らないでくれと頼んで手術を受けました。

手術が終わり、脚を見てみると結構大きく筋肉が切られていたのでショックを受けたのを覚えています。

それでも先生は成功したと言っていたので僕も大丈夫だろうと思いましたが、切った筋肉は2度と戻ってこないと言われた通り全く戻ってきませんでした。

他の部位で補うしかなくある程度のレベルで走れるまで1年半かかりました。

今でも左脚の大腿部外側の筋肉が全然使えなくて練習していても左足はかなり気になります。

切った筋肉の量が影響していることは間違いないです。

これから怪我をしてしまい、復帰を考えている方は筋肉を多く切らないことが大事だと思います。

 

右大腿骨転子部骨折の手術

右大腿骨を骨折したのは2017ツアーオブジャパン飯田ステージでした。

転んだ瞬間に左脚を骨折した時と同じ感覚に襲われすぐに折れたと分かりました。

当時ケガがなければまだ引退する気はなかったのですが、折れたと感じた瞬間にあの左脚を折った後の地獄の日々を思いだして、座り込みながら「あーこれは引退だな」と思いました。

病院に運ばれ、後日手術になりました。先生になるべく筋肉は切らずにお願いしますと言うと、先生は大丈夫ですよこれくらいの傷3箇所で済みますと言いました。それは思った以上に小さい範囲の傷でした。

え?そんなことあるのか?それなら大丈夫かもしれないと手術を受けて脚を見てみると本当に傷が3箇所で切っている範囲も少なかったのです。

右脚の手術後は左脚の手術後とはその時点で全く違う感覚でした。

左脚が曲がるまで1ヶ月以上かかったのにたいして右脚は術後すぐに脚が曲がりました。

これならいけるかもと自分の中での引退は撤回して頑張ってみようと思えたものです。

そして最初に感じた通り身体の状態が戻るまでもそこまで時間がかからず年内に復帰できました。

骨折というよりは切った筋肉の量で後の大変さが決まると思いました。

 

現在の身体の状態

手術時に入れた金属は両脚とも術後半年くらいで抜きました。

お医者さんからは反対されましたが強い希望で抜いてもらいました。

なぜ抜いたかといえば金属があると動きに制限がかかり違和感を拭えなかったからです。力が入らない部分が出てきてしまうからでした。

そして自転車は乗れるけど他のスポーツは永遠にできないと感じたのが大きかったです。ランニングをすると、走る度に金属のせいで激痛が走りました。

なので今は身体に金属は全く残っていません。

ただ筋肉を多く切った左脚は上手く使うことができません。練習をすればするほど左脚が上手く使えないなと感じます。

右脚は手術の時に切った筋肉の箇所を感覚だけで探すのは難しいですが、左脚は目をつぶって脚を触らなくてもすぐ分かります。ここからここに筋肉がないとすぐに分かります。

 

怪我をしていなかったら?

最近怪我をしていなかったらどうなっていただろうと考えることがあります。してしまったものは仕方がないのでそれを受け入れて精進するしかないのは分かっています。

特に思うのは左脚です。力がやはり入りにくいです。右脚に関してはしてもしなくてもパフォーマンス的に変わることはなかったと思います。それほど手術方法は大事です。

左脚が今より上手く使えていたらかなり快適にペダリングできていたでしょう。

正直左脚を折ってから上手く自転車に乗れているなと感じたことはありません。

折る前の良い感覚が身体に流れたことはないのです。

骨折していなかった現在を知らないのでどうなっていたかは分かりませんが、確実に今よりは強くなっていただろうなと思います。

それほど違和感があります。

自転車選手としてのキャリアは今より良くなっていたかもしれません。

ただ怪我をしていなかったら今ほど自転車のことについて考えることは確実に少なかったと思います。

特にポジションのことや他の選手を観察することはあまりなかったと思います。

 

折ってから気付けたこと

折ってから気付けたことはポジションの大事さです。

折る前はそこまで気にしていなかったポジション。

それは身体に自由度があり、ある程度ポジションが出ていなくても身体の動きでごまかすことができていたからでした。

ただ折ってからはそうはいかなくなりました。

左脚が同じような動きしかできない為にしっかりポジションが出ていないとすぐに疲れてしまうのです。

あとは右脚だけで誤魔化そうとするために右脚の動きもおかしくなってしまうのです。

そうなるとバランスが崩れて全く速く走れません。

自分の身体を使ってベストな位置を常に探していました。

正直自分自身にとっては凄くめんどくさい作業でした(これまで一緒に仕事をしてくれたメカニックの方々にも迷惑をかけました)

ただその手間がかかる作業を繰り返した結果、人に対してある程度教えることができる感覚が自分の中に貯まったと思っています。

 

オンラインレッスン始めます

現在準備中ですが、近々オンラインでのレッスンを始めようと思っています。

ライド中の痛みや、乗り方のコツ、ポジション改善などの悩みをヒアリングし改善していくレッスンを始める予定です。

正直自転車の悩みに対して1+1=2のような絶対的な正解はないと思っています。

ただ正解に近づく、その為にどのようなことを取り組んでいけばいいか、速くなるため、快適に乗るための近道はあると思っています。

僕が選手生活で養った知識を存分に使って一緒に悩みを解決していきます。

例えばパワーが出ていなくても自転車を進ませる為には?

例えばここの筋肉ばかり疲れるのはなぜ?

解決していきます。

詳しいことはまた今後書いていきますのでよろしくお願いします。

有料になってしまいますが受けてみたいと思って頂いた方は楽しみに待っていてくれたら嬉しいです。

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