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「逃げ」とは 1 ~「逃げ」の目的~

投稿日:2020年5月7日 更新日:

ロードレースでよく聞く「逃げ」とはどのようなことかを説明しようと思います。

ロードレースの専門用語ともいえる「逃げ」は奥が深く、頭を使って走るということや監督が常に集団の後ろを車で走っていることの意味があったりします。

これは複雑で長くなるので数回に分けて説明します。今日は「逃げ」を決めたい選手はどのような目的を持った選手達なのかこれを書いていきたいと思います。

 

逃げとは

最初に簡単に説明するとロードレースでいう「逃げ」とは例えば150人のレースを一斉に選手がスタートしてから、その150人の集団に対して前に抜け出し、その大集団からある一定のタイム差をつけることです。

この逃げは150人から抜け出した1人の時もあれば、2人の時もあれば、3、4、5、6人と人数は決まっていません。

6人が抜け出したとしたら144人の大集団(メイン集団)に対し「逃げ」は6人になります。この6人のことを「逃げ集団」、「逃げ」を決めた6人と呼びます。

「逃げ」を決めたい選手とはどのような選手でしょうか。

 

逃げを決めたい選手の目的

集団から逃げ出して勝ちを狙う

1つ目は集団から逃げ出して勝ちを狙うことです。これは集団にいては勝ちを狙えない選手が逃げ集団でゴールまで逃げきり勝ちを狙うというのが目的です。勝つ為に逃げる、これが最もシンプルな理由です。

 

逃げることによって自分のチームが集団内で優位に立てる

2つ目の目的は「逃げる」ことによって自分のチームが集団内で何も仕事をしなくても良い権利を得ること、集団内で優位に立つということです。

これはどういうことかというと、どんなレースでもどんなステージでも各チームその日の優勝を目指して走ります。

つまりは「逃げ」集団にチームの誰かを乗せることによって、その「逃げ集団」を追う必要がなく、そのまま「逃げ集団」がゴールまで行っても、その日のレースで自分のチームが勝つ可能性があるということです。

なので「逃げ集団」にチームメートを乗せていないチームは後ろの大集団でゴールまでに「逃げ集団」を捕まえる為に集団の先頭にたって風を受けながら追いかけなければいけません。

逃げ集団にチームメートを乗せることで集団内で位置取りをしやすくできたりします。

 

先に逃げて後から来るエースをサポートする

3つ目の目的は厳しいコースなどで「逃げる」ことによって後から合流してくるそのレースのエースを支えるということがあります。

これはどういうことかというとレースには各チーム必ずエースという選手がいます。エースとはそのレースで最も総合優勝に近い選手のことです。総合優勝に近い選手はそのチームで最も登坂力がある選手がほぼほぼです。

このような選手達は物凄く強いのでそれを支えるアシスト選手達がヨーイドンで上りを上り始めても勝てることはありません。

それなので勝負どころに差し掛かるまでに少しでも集団からタイム差を稼いだ状態で走り、エース達が集団内で戦い始め、後ろから合流してきた所をそのエースの為に力を使うことになります。

エースが合流してくる少し前から体力を温存しはじめ、エースが合流してきたときにその力をエースを少しでも優位に立たせる為にフルに使います。

 

そのステージに設定された賞を取りにいく

4つ目の目的は逃げることによってその日に設定された賞、ポイントを獲得できるということです。

ロードレースでいえばスプリントポイントと、山岳ポイントというものがコース上に何ヵ所か設定されており、これを積み上げていきポイントが最も多い選手がレースが終わったあとにその賞を獲得することができます。

スプリントポイントにはボーナスタイムというものが含まれていることもあり、ボーナスタイムを得るために逃げることもあります。

 

チームの宣伝、アピールすることができる

5つ目の最後の目的は「逃げる」ことによってチームの宣伝、アピールをすることです。

自転車ロードレースでは逃げることで多くの時間テレビやそのレースのライブ映像に映ったりや写真に残ったりします。このことで自分達のチームの宣伝を多くの人にできることになります。

自転車ロードレースではチームが会社の方々の努力、スポンサーの方々の努力で成り立っており、チームの宣伝、アピールというのはかなり重要なことになります。

 

僕がレースで逃げた目的

僕は2月に行われたマレーシアのステージレース、ツールドランカウイの第7ステージで5人で逃げました。

この時の僕の目的は1つ目はもしかしたら逃げきって勝てるかもしれないということ、しかしこれはかなり希望が薄いと思っていました。

なぜならば「逃げ」が逃げきるには難しいコース設定だったからです。多くの目的は2つ目の集団内でチームメートのスプリンター達が優位にたてること、5つ目のチームをアピールすることでした。

この逃げがゴール逃げきることはなかったので、逃げて良かったかは分かりませんが、後悔はありません。

選手としてやっている以上その日に自分ができる1番の仕事は何かと考えた上で逃げに乗ったからです。

僕は競技人生で逃げた時のことはよく覚えています。自転車選手にとって「逃げる」ということはかなりインパクトがあることだからです。

僕が逃げに乗ったレースの詳しい内容は今後書いていきたいと思います。

次回は「逃げ」はどのように決まるかを書いていきます→「逃げ」とは 2 ~「逃げ」とはどのように形成されるか~

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