プロサイクリスト 伊藤雅和

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ブログ レースレポート

JBCF 東日本ロードクラシック群馬大会

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久しぶりのレースでした。このような情勢の中様々な対策を施して開催されたレースでした。

開催に尽力してくれた方々に感謝してます。

チームとして3日間とも勝利を狙ってスタートしました。

初日は120km。6キロのコースを20周しました。

チームメートが2人逃げに乗って、僕は集団で待機していました。そしてこの日は最初に決まった逃げがゴールまで行きました。僕はただただ集団にて走り、ゴールをしました。

逃げに乗り、チームでただ一人最後まで先頭集団に残った草場選手をかなり数的不利な状況にしてしまいました。

愛三工業レーシングチームとしてはスプリンターを多く抱えているチームなので、もっと自分が最初に動くべきだと終わってから反省しました。

そしてここに複数人数乗せて勝ちに繋げたキナンは素晴らしかったし、僕たちのチームも同じようにして戦うべきだったと反省しました。

いつも物凄く強い増田選手、トマ・ルバ選手も乗っていたし、勝った山本選手も強い選手なので、草場選手が単独で、戦うにはかなり失敗でした。

僕自身のコンディションはどこか動きが鈍い感覚でした。
チームでは草場選手が6位でした。

2日目は60km。6キロのコースを10周でした。

前日の反省を踏まえて、スタートしてから積極的に前で逃げの動きに反応、もしくは自分から逃げを作りにいきました。逃げが決まらない場合は最終局面でのスプリンター達のアシストが仕事でした。

最初に少人数の逃げができたので、追走の動きに気をつけているとレースも半分を過ぎた時に上りでアタックがかかりました。アタックしたメンバーを見てこれは行った方が良いと判断し、その逃げに入りました。
するとこの逃げがきまり、全員でローテーションを回します。この日も逃げに入ったキナンの山本兄弟は積極的に逃げきりを狙ってそうな動きでした。
逃げの中では、マトリックスのキンテロ選手が上りで毎周アタックをしかけ、逃げ集団はバラけます。終盤になるとキンテロ選手にすかさず付けるのは、キナンの山本元喜選手と弱虫ペダルの織田選手だけでした。僕はふがいないですが少し離れてしまい、上りが終わった後にそのまま踏んでホームストレートに入る前に追い付くという形でした。
逃げ切りを目指すならばこの毎周のアタックはどのような意図があるのだろうと思いながらも付かないわけにもいかず、ローテーションをしないわけにもいかずといった状況でした。
最終周の中盤くらいで捕まり、集団から遅れてゴールしました。


キンテロ選手、山本元喜選手、織田選手強かったです。特に若い織田選手は今後が楽しみな選手だと感じました。
チームはスプリントで大前選手が4位と岡本選手が6位でした。メイン集団をコントロールし、スプリントに持ち込み結果を残したブリッツェンは凄かったです。チームの皆で今日はブリッツェンにあっぱれだよねという話をしました。この日勝った鈴木龍選手は凄く良い選手だと僕は思っています。強いです。マレーシアのワンデイレースでも最後のスプリントの前に実は鈴木選手の後ろにいました。

僕自身のコンディションは前日より全然良かったです。

3日目は130km。6kmの周回コースを22周でした。
アタック合戦の末に大前選手を乗せた逃げがきまり、他のチームメンバーは集団待機でした。それぞれがアタックに反応していたので、大前選手しかタイミング的に逃げに乗せれなくてまたチームから1人になってしまいました。
距離を半分程こなした時に、監督から集団を引いて欲しいと言われたので、集団を引き始めました。メイン集団にチームでスプリントができる2人がいたのと、逃げ集団にいる大前選手もスプリンターなので、メイン集団を引いていけば、大前選手は逃げ集団内で仕事をしなくても良くなるからです。


Photo by Kanako Takizawa
引き始めた時に逃げ集団とのタイム差は4分程だったと思います。最初は6人程でローテーションして逃げ集団を追っていたのですが、1周のタイム差の縮まり方が凄く小さくて、3周程を6人程で引いた時にこれでは前との差が縮まらないと感じました。そう感じてからギアを上げこれまでより高速で引きだすと引く人数が自分1人になってしまいました。後ろを振り返るとマトリックスのエースの選手達が自分のもう後ろにいて、合図しても誰も出てこなくなりました。
ここで集団を1人で引く覚悟を決めてギアを上げ続け引きまくりました。


Photo by Kanako Takizawa
必死に1人で引いていたので、タイム差の縮まり方とか見ていなかったのですが、ある程度詰まるとキナンのトマ選手が上りでアタックしていきました。
アタックするなら牽引に協力してほしかったと思ったのですが、そこは各チームの作戦があるのでしょうがないです。
牽引もここまでか思いきや、身体的にまだいけそうだったのでアタックがかかった集団に食らいつきました。そこでトマ選手が上げてくれたペースを更に落とさないように、トマ選手と新城選手が引いている集団の先頭に復帰し、集団を牽引していきました。後ろの選手が自分から前に出てくるまでは自分が全開で前を引いていました。
この上りでペースが上がり、集団にくらいつきまた先頭で引き出すという動きを何周か繰り返すと先頭集団が近づいてきました。


Photo by Kanako Takizawa
でもここで僕の牽引の仕事は終了です。逃げを捕まえることが仕事ではありません。逃げ集団にプレッシャーをかけ、人数を多く乗せているチームの労力を削るということが目的であって、逃げにはスプリンターの大前選手で勝負するという選択肢があるからです。あとは逃げ集団をメイン集団が捕まえても良い展開にすることも大事で、メイン集団には愛三のスプリンターの岡本選手と草場選手を残していました。
なのでここからは牽引することを止めて岡本選手と草場選手のサポートが仕事になります。
岡本選手、草場選手が今日は物凄く調子が良く勝負したいですと言ったならば、そのまま先頭に出てハイペースで集団を捕まえにいくといく選択肢もありました。捕まえれていたかは分かりません。
岡本選手がその周の逃げに反応していたダメージで、残り2周の上りで遅れたのを見た時は自分は岡本選手を待って、集団に復帰できるように全力でまた牽引を行いました。
残り1周の下り区間で岡本選手も集団に復帰できたので、またトラブル、エースが遅れた時のサポートに回ります。
最終的に逃げは捕まらなく大前選手が3位でした。

僕らがいた集団でもスプリンターの2人が全力で最後もがいてくれました
僕自身のコンディションはこの3日間の中で最も良かったです。

僕らのチームとしては前の先頭集団にもう1人乗せられていたらまた違う展開になって良かったと全員で話しました。それは僕でも良かったので僕自身反省しています。
この日勝ったブリッツェンの増田選手は大前選手が分かっていてもアタックに付けず、強かったと言っていました。
増田選手が強すぎるのは分かりきっているので、やはり逃がしてはいけない選手でした。

JPROツアーはこれが初戦で、沢山学べました。
勝利を収めたブリッツェン、キナンから学ぶことも多かったです。
僕らのチームは僕とキャプテンの住吉選手以外はまだ若手と呼ばれる年齢で沢山のことを学んでいます。
今回チーム全員で学んだことを次戦に生かして、次こそはチームで勝利を狙っていきたいです。

そして全くレベルが違いますが、去年までチームメートだった中根選手がルーマニアのレースで強烈な走りをしていたみたいなので、僕ももっと頑張らなければいけないなと思いました。

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