現在行われているブエルタ・エスパーニャ2020。スペインでこの時期だと雨が降るととても寒そうです。
寒さはレースを過酷にする要素の1つです。
僕は仕事として選手生活を10年、大学の頃から合わせるとアジアツアーを13年程走っています。
その中で寒い日を沢山走ってきました。ただ寒さでもう本当に倒れそうになった日は13年間の中で2日間しかありません。
2回ともゴール後に震えがしばらく止まりませんでした。こんなのではダメだと思うのですが、両日とも成績を狙う余裕は全くありませんでした。命からがらゴールに辿り着くことだけしかできませんでした。
今回はその2日間のことを書いていきたいと思います。
目次
2010年ツールド・コリア
2010年に走ったツールド・コリアの雨が降ったステージは忘れられないくらい寒かったです。寒すぎてコースは全く覚えていません。寒いことしか覚えていません。当時ツールド・コリアは4月に開催されていました。韓国の4月は寒いのです。スタートからゴールまで雨でした。
当時僕は学生、ナショナルチームで走っていたのですが、寒さを防げるアイ
スタートしてすぐ、ニュートラル中に震え出してゴールまで死に物狂
正直辛すぎてあんまり覚えてないです。
当時今みたいに詳細に残るデータがあれば面白かったのにと思いました。
2019年ツアー・オブ・チンハイレイク
これは最近なので鮮明に覚えています。僕が思うにツアー・オブ・チンハイレイクは多分アジアで最も辛いステージレースです。標高は常に3000m程で行われます。2019年は13ステージありました。
その日は221kmのロングステージ。スタートから雨でした。雨の日のスタート時には念入りにレインジェルを塗ってスタートします。
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この日のコースプロフィールはこのような形でした。
7月に開催されるレースですが標高が高すぎるので雨が降るととても寒くなります。
この日の寒さは上の画像の温度でした。ガーミンの温度計なので正確ではないかもしれません。
この日物凄くキツかったことは220kmの最後の残り23キロが下りだったことです。標高3799から2924まで一気に下るのです。
スタートから下り基調なコースでしたが寒さは防げていました。NIPPOに所属していたのでSANTINI(サンティーニ)という優秀なウェアメーカーを使っていました。優秀なサンティーニのレインウェアを着ていましたし、レインジェルも全身に塗っていましたので大丈夫でした。雨も降っていましたがザーザー降りではありませんでした。
これはまずいかもと思いだしたのは最後の上りを上ってしばらくしだしてからでした。
雨はザーザー降りに降っていて、上っているのに身体が温まっていかなかったからです。いつもは限界まで追い込んで踏めば身体が温まっていくのですが、なにせここは高地、身体を思ったように追い込めないことが多いのです。そして上る度に気温も下がっていきます。
最後に下ると分かっていたので、上りながら相当焦っていました。身体にも力が入らず集団からも遅れます。上りの最高地点3799mの気温はメーターで見て2℃でした。
下り始めて直ぐに身体が震えだしました。ここまで200kmの雨で全身びちょぬれです。全身濡れた状態で気温2℃の風を浴びる。これはもう堪らなく寒かったです。路面も濡れてて、下りなので脚もそこまで動かせません。ブラケットに置いてる手が寒さでずっと震えています。ブラケットから手が離れそうなくらい震えていました。寒さで意識が飛びそうな中、一瞬でも気を抜いたら落車して大怪我です。これはかなりスリルある体験でこれからも忘れることはないと思います。
このように自分が命からがらにゴールに辿り着いた体験をしているので、寒そうな雨の日に集団前方でレースを展開している選手達を見ると本当に脱帽です。
そして寒そうな雨の日走っている選手達はゴールするだけでとても大変なので、全ての選手達を尊敬しています。
ブエルタの雨の日を観て寒すぎたレースの日を思い出しました。雨で寒そうな選手達を見て、今回のブエルタのステージとあの日どっちが寒かったんだろうとか思いながら観ていました。
この先のステージも楽しんで観戦したいと思います。