プロサイクリスト 伊藤雅和

愛三工業レーシング所属 伊藤雅和のブログ

ブログ レースレポート

ツアー・オブ・ジャパン 2021

投稿日:

3日間で行われたツアー・オブ・ジャパン(TOJ)2021が終わりました。

昨年から続くウイルスの影響を受ける社会情勢の中、開催をしてくれて選手としてとてもありがたかったです。

大会開催に尽力してくれた方々ありがとうございました!

僕は総合成績を狙いにツアー・オブ・ジャパン(TOJ)に参戦しました。

今年はコンディションを5月のこのTOJで感覚的に8割、そして更に本来であれば6月に開催される予定だった全日本選手権でピークが来るようにピーキングを行っていました。

コンディションもまだMAXではないけどかなり良い感じで上がってきている感覚でした。

ただ細かいことを言うと開幕の1週間前から少し思ったような身体の動きができなくなって、コンディションは上がってきているはずだけど、少し心配を抱えてのTOJ開幕でした。

結果としては総合6位でした。

今回のレースレポートではチームの作戦なども書いてしまうと長くなってしまうので、主に僕の事だけ書いていきます。

第1ステージの富士山ステージから振り返ってみたいと思います。

 

第1ステージ 富士山

身体の動きに少し不安があったのは左右の身体の動きにバラつきを感じていたことでした。開幕1週間前にいきなりそのような動きになってしまいどうしようと悩んでいました。開幕の3日前からチームのマッサージャー久保さんのマッサージを受けることができたので、身体の嫌な感覚を治してもらっていました。

そんなこともあったので、スタートしてしばらくは身体の動きを気にしながら走っていました。

富士山ステージは例年までのコースと違って少し長めな上りを含む1周13kmの周回コースを4周半してからのふじあざみライン登坂でした。

その周回コース中は宇都宮ブリッツェンのコントロールでレースが進みました。

周回する度にあまり踏まずに周回をこなせていることに気づき、調子も悪くないかもしれないと思いました。チームメートにあざみライン手前までの位置取りを手伝ってもらいあざみライン登坂が始まりました。

馬返しと呼ばれる下り区間がある少し手前までは良い感覚で走ることができました。ナショナルチームの留目選手がアタックしている時に集団の先頭を引っ張ることもありました。

脚がつりそうな状態でピンチ

馬返し手前でブリッツェンの増田選手とキナンのトマ選手が少しペースアップをした時に脚がつりそうになり着いていけませんでした。

そこからは急勾配区間の勝負です。力を入れすぎると脚がつりそうだったので、座って漕ぐシッティングと立ち漕ぎのダンシングを上手く使いながら脚がつらないように、尚且つ限界を攻める走りをすることになりました。

作戦などはなくとにかく全力で上るしかなかったです。

馬返しの後、僕の前にマトリックスのマンセボ選手がずっと見えていましたが、残り1kmで僕が結構失速してマンセボ選手が見えなくなってのゴールになりました。


photo Itaru Mitsui

ゴール直前は脚がすぐつりすぎて誤魔化しながら走ることがとても辛かったです。

ゴールし終わった後は脚がつっていたので真っ直ぐ立てずに座り込んでしまいました。

結果は5位で総合5位になりました。これまでのTOJでは富士山でいつもタイムを失っていたので、最も上手く上れた富士山になり、やっとしっかり上れたと過去の事を思い出してなんだか感慨深いものがありました。

 

第2ステージ 相模原

第2ステージは相模原ステージでした。

スタートしてからすぐにアタック合戦が始まり、ハイスピードな展開になりました。僕は集団の中で脚を使わないように走っていました。

周回コースに入り、周回コース上り区間で16名という大人数の逃げが行ってしまいました。

僕はここがミスしたと思っていますが、僕より総合が良い4人と後ろの6位の選手までしか動きをチェックしていませんでした。

よくよく考えればその選手達を出し抜かなければ順位は上がらないのにその選手達の近くにいてしまいました。周回の最後にここにいる選手達とバチバチに戦うことになると思っていたからです。

そして1番ダメだったことは、その16人の逃げの中に僕と富士山でタイム差が1分以内の総合7位と8位の選手が入っていたことでした。

大誤算

僕としてもチームとしても大誤算だったのはこの逃げに誰も乗せれなかったことです。チーム全員これは大反省です。逃げが大人数ということとメイン集団もブリッツェンしか牽引するところがなかったので、すぐに逃げ集団との分差は開いていきました。そして一向に縮まる気配はありませんでした。

これではまずいと総合2位3位を抱えるキナンの新城選手からレース途中で、「キナンから僕が引くので愛三は2人出してくれてないですか?」との提案があり住吉選手と大前選手に牽引をお願いしました。


photo Itaru Mitsui

必死にかなり良いペースで牽引してくれましたが、タイム差が開きすぎていたので、時既に遅しで最後まで前の集団を捕まえることはできませんでした。

最後の周の上りに僕らの集団でも総合上位陣によるペースアップがありました。それには僕も問題なく反応して(かなり踏みましたが)頂上を越えてからそのメンバーで前の逃げとの差を縮める為にローテーションを行いました。しばらくして岡本選手が僕に変わって総合上位陣とローテーションに入ってくれました。それでもやはり逃げ集団を捉えるまでには至らず、逃げきった右京の小石選手に総合を抜かされ総合6位になってしまいました。


photo Itaru Mitsui

チームメートがいなければもっと総合順位を落としていたのでチームメートに感謝でした。

ロードレースで攻めること

ロードレースは逃げに乗るなどして攻めた人が結果を得れることもありますが、逃げに乗って攻めた結果最後集団に追い付かれて、更にそこからのペースアップに着いてこれずに結果を落としてしまうこともあります。

相模原ステージでは逃げに乗った右京の小石選手と那須の谷選手が攻めることに結果として成功しました。

攻めることは難しいことでもあるのでその勇気が凄いと思いました。

集団に残った自分は結果として失敗しましたし、更に疲れてゴールするわけでもないという結果に終わってしまいました。ロードレースでは集団の動き、展開によっては自分の実力を全部出さずにゴールしてしまう日も沢山あります。

この力を使う場所が頭を使う所で、ロードレースにおいていつも難しい所だなと思います。

例えばあそこで逃げに行っていればなとかあそこでもっと踏んどけば良かったなどと後悔することがあります。(こんなこと言っていますが、ヨーロッパに行った時のレベルの高いレースでは毎日全力を出しきらないとゴールできないです。力の出し所で後悔したことは1度もないです。なぜならば常に全力だからです。笑)

ここが全力をいつも出しきるスポーツ、例えばマラソンなどとロードレースは違う所なのかなと思います。

 

第3ステージ 東京

このステージのスタート前の個人の目標としては、前日にあったようなことを逆に自分が逃げて行いタイム差を取ることでした。しかし個人よりも1番の目標はチームとしてこの東京ステージのステージ優勝を目指すというものでした。

僕らのチームの僕以外のメンバーはこの東京でステージ優勝をするために編成されたメンバーでした。最後に力を発揮するスプリントが得意なメンバースプリンターを多く連れてきていました。

そのメンバーが誰でも逃げに乗ってステージ優勝を目指しても良いし、僕も逃げに乗って良いのでとにかく逃げにメンバーを乗せることが絶対でした。

前日のレース展開があったのでレースが始まって最初は逃げに乗りたい選手が多く展開が落ち着かないだろうと予想していました。

予想通りスタートしてから逃げたい選手達で常にハイスピードな展開になりました。

逃げに乗るために

このような時に逃げが決まる時はどのような時だろうとレース中に考えて、ここまで選手をしていた僕の経験でここからは逃げが決まりやすいだろうというタイミングがありました。


photo Itaru Mitsui

その時にチームメート1人1人に声をかけて今アタックに行ってくれ、今集団を引いてくれなど声をかけました。

まずは住吉選手がアタックしてもらいました。次に草場選手に集団キャッチを頼みました。次に集団がペースが緩んだ時に大前選手に思いっきりアタックしてもらって、それが捕まった時に僕がアタック、僕はその後2度アタックして集団を伸ばす役割をしました。

そうして5人中4人が仕事をして集団が少し緩んだ時に動きを行う5人目だった岡本選手のアタックが決まりました。

5人の逃げにチームのエーススプリンター岡本選手が乗るという最高の展開になりました。


photo Itaru Mitsui

ただ岡本選手が最後の周での逃げ集団の駆け引きに上手く対応できず集団に戻ってきてしまいましたので、チームとして大誤算になり焦って僕も残り2kmから1kmまで1人全力で集団の前を引きましたが逃げを捕まえることはできませんでした。

チームとして大失敗と呼ばないといけない結果になってしまいました。

これはかなり反省して、これまでにないくらいチームメート全員と話し合いました。

起こってしまったことは仕方ないのでもう前を向くしかありません。

 

ツアー・オブ・ジャパン まとめ

今回悔しい思いをした僕を含め5人の選手はこの悔しさを次のレースへのモチベーションにしていくしかありません。悔しさはレースでしか晴らせないと思うからです。

ただ反省ばかりではありません。僕個人としては更に強くなるべきということは勿論ありますが、富士山を初めて上手く上れたという達成感もあったツアー・オブ・ジャパンでした。なぜならこれまで出場したTOJでは富士山終わっていつも落ち込んでいることしかなかったからです。

相模原、東京は結果として失敗に終わりましたが、これはレースをしてみないと分からないことです。

チームメート全員コンディション的に悪くはなかったので今後もしっかりコンディショニングして、レースでは身体を使うことは勿論ですが、更には頭をチーム全員使い、レース中にもっと話し合って意見を共有しながら結果を残していきたいと強く思えたTOJでした。

そして総合優勝した増田選手。会場で会えばいつも優しく声をかけてくれて、そして何よりいつでも物凄く強い尊敬できる選手です。増田さん本当におめでとうございます!

最初にも述べましたが、大変な社会情勢の中ツアー・オブ・ジャパン開催にあたって尽力してくれた方々に本当に感謝したいと思います。ありがとうございました。

僕は少し休んで次の目標に向けて頑張っていきます。

 

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