自転車ロードレースには「脚質」というものがあります。
脚質とはその人それぞれの得意な走り方、考え方を変えると役割のことをいいます。
「オールラウンダー」「スプリンター」「クライマー」「ルーラー」「パンチャー」「TTスペシャリスト」
の6つのタイプに分けられます。
「ルーラー」についてフォーカスして書いていきたいと思います。
「ルーラー」とは比較的長い時間高負荷で平坦などを巡航できるタイプの脚質となります。
目次
最も地味な脚質?
もしかしたら6つに分けているタイプの中では言い方は悪いかもしれませんが最も地味な脚質になってしまうかもしれません。
しかしトップの「ルーラー」ともなれば能力は物凄い高い選手達です。
言い方を変えれば「ルーラー」の選手は風を長時間受けることが得意な選手ということかもしれません。よって逃げることも得意としている選手達です。
ルーラーの選手は大柄
「ルーラー」の選手は大柄な選手が多いです。
小柄な選手の「ルーラー」は僕はあまり聞いたことはないです。
自転車ロードレースの1番の敵は風です。空気抵抗です。
例えば平坦で風が吹いたときどうしても大柄な選手に比べて小柄な選手の方が不利になってしまいます。
体重が重い方が風でふらつかないし、絶対的に出せるパワーが違うからです。
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ルーラーの仕事
上りに入る前や、横風の前、ゴールスプリントの位置取りが始まる頃、ペースを上げて集団の前に行かなければいけない、場所取りをしなければならない時があります。レースを観たことがある方なら分かるかもしれませんが、チームごとに一列に並んで走っていると思います。
このような時に大柄な「ルーラー」の選手の出番になってきます。
エースの為に場所取りをする時は高負荷で一定時間走れる「ルーラー」がいるとチームはとても助かるのです。
良い場所で走れるのと走れないのとでは体力の消耗が違います。
それについてはこの記事で紹介しています→集団前方、後方の話と世界的スプリンターは山が速いという話
ルーラーの選手が勝ちを狙うとき
「ルーラー」の選手はアシストにまわることが多いですが、勝ちを狙えるレースもあります。
路面が悪いコースや、1日を通して風が強く風が当たるようなコース、天候が悪い日、あとは逃げでそのままゴールまで逃げきってしまう時です。
大柄な選手が有利な横風のレースなどではそのような選手が勝つこともあるイメージです。
「ルーラー」は、TTスペシャリストでもある「ルーラー」もいます。
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ルーラーの恐ろしさを感じたレース
僕が出たことあるツールドスイスで「ルーラー」の選手の威力が恐ろしすぎたエピソードがあります。BMCレーシングというチームのリッチーポート選手がリーダーでリーダーチームはBMCレーシングでした。
第5ステージスタートしてから速いペースで厳しい丘が続いたので、丘を越えて逃げ集団はかなり強い選手達27人で形成されました。
そこから27人の選手に対してBMCレーシングは3人の「ルーラー」の選手だけで集団を引っ張っていました。
このペースが恐ろしく常に少し横風の平坦区間を時速55km程のペースで走っているのです。集団は常に一列です。
途中でモビスターというチームの選手達2.3人も混ざり、集団は時速55km~60kmで常に走行です。80km程の平坦区間をたった6人程、(最初は3人)でそのあり得ない時速ペースで集団を引ききってしまったのです。
その後上りに入ったので「ルーラー」の選手達はゆっくりゴールしていましたが、人間ではないと僕は思いました。その上りも30km程上り続けるコースだったからです。
一列で走ってる時にトレックというチームの選手が、これは集団がずっと速すぎるから絶対にバイクが集団の先頭を引っ張っているんだ!と文句を言っていました。
僕もその文句に激しく同意したくなるようなペースでした。
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画面越しだとその凄さはあまり伝わりませんが僕は世界的ルーラーの恐ろしさを身をもって体験し、激しく尊敬しました。
ロードレースを見る際に「ルーラー」の選手が実は凄いということが分かると、もっと面白くロードレースを観戦できると思います。