プロサイクリスト 伊藤雅和

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ブログ 自転車ロードレースとは

脚質、スプリンターについて

投稿日:2020年5月2日 更新日:

自転車ロードレースには「脚質」というものがあります。
脚質とはその人それぞれの得意な走り方、考え方を変えると役割のことをいいます。
オールラウンダー」「スプリンター」「クライマー」「ルーラー」「パンチャー」「TTスペシャリスト
の6つのタイプに分けられます。

今日は「スプリンター」について書いていきたいと思います。

 

スプリンター選手の特徴

「スプリンター」とは簡単に言うと、瞬発力があり、筋量が多く、短時間に多くの出力を出せて最後の大集団でのゴール勝負(スプリント)で勝負をする選手です。

過去に書いた「オールラウンダー」「クライマー」に比べて、大柄な、筋量が多い選手が多いです。

そして「オールラウンダー」「クライマー」は大集団でゴール勝負することはまずないです。自転車ロードレースの中でも「オールラウンダー」や「クライマー」と「スプリンター」は役割や、筋肉の質が全く違います。

「オールラウンダー」や「クライマー」は山岳をとてつもないスピードで上っていきますが、「スプリンター」はどちらかと言えば山岳が苦手です。

筋肉の質も短距離を得意とする筋肉が多いですし、筋量も多いからです。

しかしロードレースでは単純にダッシュ力がある筋量があるだけではいけません。最後のスプリント勝負まで100km以上の距離をこなさないといけないからです。最後のスプリント勝負で爆発力を生む筋力も必要だし、そこまで走る持久力も必要なのです。

自転車ロードレースは100人以上の集団が一斉に走っています。そして平坦なステージともなれば100人以上の集団が一斉にゴールに向かいます。ともなるとそこから抜け出す為には、速いスピードを出す筋肉、一瞬で集団から抜け出す瞬発力が必要になってきます。

 

瞬発力の他にスプリンターに必要なこととは

あの一瞬の爆発力は僕には全くないので、「スプリンター」の選手をいつも見ていて素直に凄いなと思います。しかし僕が本当に凄いと思うのはゴールに向かうまでの位置取りです。

100人以上が一斉にゴールに向かうわけですからその中での場所争いがあります。ここの場面では物凄く落車のリスクがあります。

道の幅は決まっているので全員が前に前にという意識があると、誰かと誰かはぶつかったり、前の人に突っ込んだり、様々なトラブルが起きるからです。

「スプリンター」の選手達は落車のリスクも恐れずに場所取りをします。場所取り(位置取り)を行わないと、ラストスパートをかける際に周りに敵選手に囲まれたはスプリント・スパートをかけれません。そのために、位置取りを行う必要があります。

その中には頭突きなどして場所をあける選手もいます。僕もレース中何度も小競り合いしてる現場を見ています。その為「スプリンター」の選手達は自転車を操る能力、バイクテクニックが高い気がします。

 

位置取りは戦争

位置取りは本当に戦争です。その時の時速は平坦で時速40km~60km速くて70km程は出ている訳ですから、転べば物凄い怪我を負うわけです。テレビなどで見るよりいざ現場にいると本当に速いんです。しかし怪我することを恐れていては良い位置は取れません。

ワールドツアーのレースなどでは落車のリスクを減らす為に「スプリンター」のアシストの選手達が物凄いスピードで集団を引っ張ります。道幅いっぱいに選手がならない為、前に前に選手が出てこれないようにします。いきなり斜めに走ったりする選手がいると落車は防げませんが、ハイスピードにして集団を縦に伸ばすと落車は少なくなります。

あとはワールドツアーの選手達は他のチームに頼らずに自分達のチームだけでスプリントにしっかり挑もうとするので変な小競り合いが少ないです。

 

位置取りはヨーロッパよりアジアのレースの方が難しい?

去年チームメートにワールドツアーでも活躍しているスペイン人のファン・ホセ・ロバト選手という選手がいました。

その彼は「スプリンター」ですが、ワールドツアーのレースよりアジアツアーのスプリントの方が怖いと言っていました。

ワールドツアーのレースの方が勿論最後のスプリントに向けて、最後のスプリントのスピードが速いですが、先程書いたように「スプリンター」のアシスト選手達が代わる代わる物凄いスピードで集団を引っ張っていく為、集団が縦に伸びるので位置取りは怖くないそうです。

逆にアジアツアーのレースなどでは集団を縦に伸ばすチームが少ない為集団内がごちゃごちゃしていて、スプリントの前の位置取りがカオスになり、横にも前にも前に行こうとする選手が多い為、怖いそうです。

アジアツアーなどではチームでまとまって前に上がるというよりは他のチームや前にいる選手達をいかに利用して集団の前に前に上がっていくので、余計に位置取りはカオスになります。

 

スプリントは奥が深い

これらのリスクを負い、トラブルなく良い位置から、最高のタイミングで最後のダッシュ(スプリント)で誰よりもパワーを出した「スプリンター」が勝利を勝ち取ることができます。

パワーも単純なパワーだけでなく、風との戦いもあり、空力を減らしつつ体重に対してパワーを出した選手が強いです。

最後に「スプリンター」は上りが苦手と言われていますが、世界で活躍する「スプリンター」は僕なんかより上りは速いです→集団前方、後方の話と世界的スプリンターは山が速いという話

テレビで見ていてスプリント、「スプリンター」達の迫力は自転車ロードレースの中で1番2番の楽しさがあると思うので今度ロードレースを見る機会があったら、位置取りの激しさの部分から見てみて下さい!

いつもは僕もあのような選手達に少しでも近づけるように頑張りますとblogは締めますが、今回ばかりは違います。

僕にはあのような激しい争いはできません。本当に本当に「スプリンター」の選手達のことを尊敬しています。

最後に、この僕たちと写っている写真の真ん中の選手はアジアで有名なマレーシア人「スプリンター」の選手です。これは2月に行われたツールドランカウイで彼が集団スプリントでステージ優勝した次の日のスタート前の写真です。

レース中はかなり激しい位置取りをこなすけど普段は凄い優しくて好青年な選手です。

 

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